経済学的エネルギーへの、熱力学第二法則を考慮することについて

エネルギーは物理学的には、仕事をする能力のことであり、スカラー量である。

エネルギーの巨視的な考察は19世紀までの熱力学により完成している。

また、物理学の最も基本的な考え方は、閉じた系においては、エネルギーが保存されることである。

一方、エネルギーという単語は、経済用語でもある。どれだけのエネルギーを自由に使えるかは、豊かさを表すと指標でもあり、戦争の原因であったりもする。

カルノーの熱の研究に基礎を置く熱力学の恩恵を象徴するのが、火力発電所と原子力発電所である。

この二つは、エントロピーの小さな化学エネルギーと核エネルギーを、一旦、エントロピーの大きな熱エネルギーに変換し、そのあと、タービンにより、エントロピーの小さい電気エネルギーに変換する。

火力発電所も原子力発電所も、閉じた系とすれは、エネルギーは保存されるはずであるが、カルノーの熱効率の関係により、排熱の温度が、0Kにはできないため、外部の系との熱交換により、エネルギーの損失が生じ、すなわち、熱効率は、100%には、絶対になり得ない。

一方、太陽光発電や風力発電は、自然エネルギーや再生可能エネルギーとよく分からない呼び方をされるが、物理学的には、エントロピーの大きなエネルギーから、エントロピーの小さい電気エネルギーへの変換技術である。

エントロピーも物理学上の概念であり、直接的に測り得ない物理量であるが、太陽光や風力は、火力発電の燃料や、核分裂物質と同じ体積で比較すると、エネルギー密度が小さい。

よって、太陽光発電では、広い太陽光パネルが、風力発電では、大きなブレードを使用して、エネルギー密度を高めるエネルギー変換を行う。

火力発電や原子力発電は、エントロピーの小さいエネルギーから、電気エネルギーを介して、最終的にはほとんどが熱エネルギーというエントロピーの大きなエネルギーに変換されるから、一方向のエネルギー変換ルートである。

太陽光発電は、地球の外の系から入ってくる、光エネルギーであるから、地球をエネルギー的に開いた系として考えないと、エネルギー効率の計算は意味をなさない。

風力発電は、地球を閉じた系と考えたとき、エントロピーの大きなエネルギーから、電気エネルギーを介して、再び、熱エネルギーのエントロピーの大きなエネルギーに変換する。

水素エネルギーが注目されているが、風力発電と組み合わせることが実用的になれば、水を媒質とした、地表面での閉じたエネルギーと物質の系になる。

エネルギーという単語は、現代では、物理学的に使われるよりも、経済的な意味で使われることが多いが、一般には熱力学の第一法則のみが重要視される。

しかし、熱力学第二法則まで考慮して、経済学的なエネルギーを考えると、エントロピーの大きなエネルギーの変換する閉じた系というのは、19世紀的な文明から、21世紀的な文明への変化であると見なせる。

残念なことに、熱力学の第二法則をしっかりと教える学校は限られている。