地震予報は不可能なのか?すべきだと思うのだが。

非破壊検査の手法の一つに、アコースティックエミッション検査(Acoustic Emission Test、略してAE、または、AT)と言うものがある。

超音波を使った非破壊検査手法の一つである。

超音波を使った非破壊検査手法として、一般的なのは、医療用ソナー検査に用いられている手法である。すなわち、超音波を発信と受信の両方が可能な、計測装置とセンサーを用いて、検査対象に能動的に超音波を伝播させて、エコーと呼ばれる、反射波を受信して、送信と受信の時間の差から、検査対象の位置を求める方法である。医療用も工業用も超音波検査装置の原理は、同じである。その差は、医療用では、超音波は、ほとんど水の中を伝播すると見なせるため、音の縦波のみを考慮すればよいのに対して、工業用は、固体中を伝播するため、縦波と横波(固体中の横波は、せん断弾性率が、体積弾性率に対して無視できないため)の両方を考慮しなければならないことである。

すなわち、一般的な超音波検査とは、電波を使ったレーダーと似ている。

一方、AEでは、超音波を受信するだけである。AEは、固体を主たる検査対象とするが、固体に変形や損傷が発生すると、その部位から音が発生する。特に変形や、小さな損傷の発生時の音のレベルは小さく、周波数が高い。これは、エネルギーの小さな音の発生である。このような場合、可聴帯域ではなく、超音波帯域の周波数の音の方が聞き取り易い。実際には、可聴帯域の音も発生しているはずであるが、可聴帯域の音は周辺に多くの音の発生源があるため、ボリュームの小さな音を聞き取りにくい。そのため、超音波帯域が使用される。

AEで、固体の変形を観察していると、目視で確認可能な破壊が生じる前から、予兆が発生していることがわかる。

複数の箇所で、AEを測っていると、同じ場所で発生した音を時間差で、捉えることが可能である。そのため、AEでは、変形や損傷が起きた場所の特定も可能である(これを、位置標定 と呼ぶ)。

AEは、超音波帯域の音を利用しているが、可聴帯域よりも低い周波数を利用している検査方法がある。地震計である。

地震計は、震源から伝播して来た、固体中の縦波と横波を測っている。原理的には、三箇所の地震計で、同一の地震を検知すれば、震源を求めることができる。

そして、地震計は、常時計測をしているから、震度1に満たない揺れも観察している。AEが、小さなボリュームの音を使って固体の破壊の予兆を知ることが出来るのと同様に、地震計でも、地震の予兆は観察できているはずである。少なくとも、身体に感じない震度1未満の地震がいつもと同じ傾向か、異なる傾向を示しているかはデータとして現れているはずである。

このようなデータは、気象庁や地震の研究者は見ているのであろうと思うが、一般には公表はされていない。

しかし、地震の多い日本列島であり、恐らく、世界的に見ても地震の研究が進んでいる日本である。

正確な地震予知は不可能であったとしても、地震の予兆が、起きているのかどうかは、天気予報のように、デイリーに発表されるべきではないかかと考える。

データに生じている変化に注意を要すべきか、無視できるかぐらいは、天気予報と一緒に予報すべきである。

M7の地震の発生を予想できなくても、M4以上の地震が発生する確率ぐらい、過去の計測結果との対比で可能なのではないか?

地震予知ではなく、地震予報を日常化すべきであり、難しいことではないと推察する。

難しいのは、地震観測担当者と地震研究者の予兆を観測することへの甘えが許されなくなると言うことである。

地震は、プレート型だとか、直下型などの震源による分類があるが、雨が降る原因が低気圧のためか前線のためか、台風のためかの違いに差はなく、雨は雨である。風だって、同様である。

であれば、持っている地震のデータを基に、今の技術で可能な範囲で、地震予報をすべきである。