株式指標の特定周期による価格変動予測の有意性への疑問について

株式指標(日本であれば,日経平均,または,TOPIX)のチャートを見ていると,何がしかの周期的な規則性があり,その周期性に着目すれば,有利な株式取引ができるのではないかと考えられ易い。

実際,「日経平均,周波数解析」や『日経平均 FFT』などをキーワードに検索すると,そのような記事を読むことが可能である。

しかし,私が行った,2007年1月から2014年6月までの日経平均とTOPIX日足終値の周波数解析において,そのような特徴ある株式指標の周期を見いだすことは出来なった。

論議を簡単にするため,まず,原データを示す。以下に使用した日経平均終値の時系列データを示す。

この時系列データから,周期性を議論することは不可能に近い。このデータを基に,周波数解析した結果を次に示す。一般に周波数解析では横軸は周波数であるが,株式指標変動においては,周波数の逆数の周期を使用した方が理解し易い.まず,横軸,縦軸とも線形軸として示す。この図では,1年の商い日を244日としている。下の図には,約300日と700日に少し目だつピークがある。

解析期間の平均値を基準に,変動幅をパーセントにして,かつ,横軸と縦軸を両対数軸にしたグラフを継ぎに示す。 対数表示にしたため,取引日が2日から2000日までが見通し易くなった。また,縦軸は,平均値に対する,日経平均の変動幅を表している。注目すべきは,幾つかあるが,
(1)営業日2〜5日:周波数解析結果がほぼフラットな状況を示している。これは,5営業日までなら,大きな価格変動が起き難いことを表している。
(2)約100日に着目すると,変動幅は1%になる。つまり,ある日株を買って,100日保有していると,1%の値上がりか,値下がりが起きることを表す。
(3)更に着目すべきは,100日から2000日以降である。横軸周期が大きくなるほど,縦軸の値が大きくなる。これは,周期が長いと,ほぼ,単調に価格変動が大きくなると言うことである。
(4)下のグラフに,2000日の周期の変動幅よりも顕著に大きな価格変動を示す周期は見当たらない。これが何を意味するかと言うと,株は保有期間が長いほど,価格変動の影響を受け易いと言うことである.上手くすれば値上がり.運が悪ければ大損である.

検索で探せる同様の解析記事を読むと,フーリエ変換を使って,未来を予測して,株式の売り買いをしようと考える人がいるようであるが,これは,ナンセンスである。なぜなら,周波数解析は,過去の有限時間のデータを三角関数の集まりとして表す数学的手法である。フーリエ解析を使って見いだした任意の関数が,時間を外挿した未来に適用できると言う数学的な保証は一切無い。

フーリエ変換を無限大の過去から,無限大の未来までのデータに適用できれば,ある時刻以降の関数の変化を予測できるが,未来のデータは入手不可能であるから,過去のデータを用いてしか時系列データ(時間の関数)のフーリエ変換結果しか得られない。よって,フーリエ変換を使って見いだした時間の関数は,解析に使用した元データそのものである。それを,未来に外挿して適用しても,原理的に,未来の株価指標は予測不可能である。

なお,株価チャートにおいて,20日移動平均曲線等が用いられるが,今回の三枚目のスペクトラムに示すように20日な特徴的な傾向は見られない。

唯一見られる傾向は,株価指数は約240日営業日,360日程度の営業日で若干上げ下げする。これは,配当の権利確定日のリップルであろう。

株で利益を上げるためには,精々10日程度を保有期間として,期待値を1%と割り切って,細かい売り買いをするしか無いのではないと言うのが,今回の解析結果の結論である。