ブルースハープの学術論文発見! Acoustical and physical dynamics of the diatonic harmonica

ブルースハープのリードの力学を定式化してみようかと考えて、

さて、参考にすべき先行論文はあるのだろうか?と、
J-Stageにおいて検索してみたところ、

米国音響学会誌に論文があった。

でも、pdfをダウンロードすると$30もするので、取り敢えずは、放置。

Acoustical and physical dynamics of the diatonic harmonica

恐らく、この論文が、ブルースハープのstate-the-artsであろうとおもう。

さすがに日本語の論文を見つけることはできなかった。

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今年一番の寒気日本へ:大陸の1068 hPaの高気圧は普通なのか特異なのか?

TVを見ないので、気象情報にさえ疎い。

関東平野の冬は晴日が多く、温暖であるから、夏ほど気象情報に気を使わなくてもよいという理由もある。

しかし、SNSの情報を眺めていると、クチコミの気象情報を知ることができる。

すると、今日(2016/1/23)に、日本列島は、今冬一番の寒気に覆われるのだという。

ヘェ〜と、と、思って、天気図を眺めてみた。日本列島周辺ではなく、アジア広域の天気図である。


2016/1/23 3:00アジア広域天気図

日本列島周辺に低気圧があるが、1012hPaであったり、1016 hPaであったりする。

工学的に1気圧とは、1013 hPaと置き換えるから、普通なら高気圧になってもおかしくはない気圧である。

しかし、それらを低気圧とするのであれば、どこかに対になる高気圧が無ければならない。

すると、大陸に、1068 hPaとか1044 hPaという高気圧がある。

夏に、1013-55=958 hPaのような低気圧が日本列島にあれば、それはほとんど台風と呼ばれる。

すると、日本列島周辺に台風のような低気圧はなくとも、大陸には、
1013+55=1068 hPa というような、気圧のプラス側となる台風並みの気団があることになる。

当然、高気圧から低気圧への気圧勾配によって大気は流れるであろうから、
大陸から太平洋に向かって風が吹く。

日本の気象情報は、天気(今日なら降雪について)のことしか伝えてくれないので、何故、大陸にとても高い高気圧が存在するのかは、推測するしかない(私は気象学者でもなんでもないので、詳細な気象データを持っていない)。

恐らく、大陸の高気圧が発生は、ツンドラ地帯の凍土が凍る際の水の凝固熱が大気から奪われることが原因であろうと推測する。

夏に凍土が解け、冬に凍る。自然なことであるが、夏に解けた凍土が多ければ、冬に凍る凍土の量も多くなり、結果的に大気の熱を多く奪う。そこには、強い下降気流が発生し、高気圧を作り出す。

上から押し出された、凍土により凝固熱が奪われた冷たい大気は地表面に沿って流れる。日本海に流れ出した冷たい大気は、海水の熱と水蒸気を一緒に吸収して、日本列島に流れる。

地表面と大気の熱交換を考えれば当たり前のような現象である。

問題なのは、1068 hPaという高気圧を発生させる地表面と大気の熱交換は、気象学の言葉を用いれば、平年と比べて普通のことなのか?それとも、特異的なことなのか?ということだ。

地球気候変動問題については、地球平均気温というスカラー量が話題になるのであるが、
大気と大陸+海洋の熱容量を比べてみたら、恐らく後者の方が大きいはずである。すると、熱や水蒸気の輸送現象は、地表面や海水の温度(すなわち熱エネルギー)が、大気のそれよりも、より重要なはずである。

しかし、気象学は、多くの場合は、大気温度と気圧が考察の対象である。

大陸の強い(この形容詞は好きではないが)高気圧の発生について解説してくれる気象情報番組はあるのであろうか?
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自動運転車両が事故を起こしたら、その責任は誰にあるのか?

ずいぶんと前に『自動車が線形化する』という記事を投稿したことがある。

そして、すでに、それは達成間近なようである。

機械の非線形性が減れば、その制御は簡単になる。

自動車の場合、非線形性は、エンジンの燃焼と旋回時のタイヤの力学的特性にある。

エンジンがモータに置き換わり、旋回も非線形性を考慮しない範囲(車両ヨーレートが小さい場合の近似条件)であれば、自動運転という発想は容易に浮かぶ。

クルマを売り続けなければならない自動車メーカーは、競って、自動運転に注力し、税金が欲しい国さえも、補助金など画策している。

ところで、自動運転車とマニュアル運転車は、恐らく同じ道を走ることになるであろう。

すると、事故が起きたときのルールが新たに必要になる。

そこで、二つの疑問が生じる。

1.自動運転走行中のクルマが事故を起こした場合、
その過失責任は、ドライバーにあるのであろうか?
それとも、クルマメーカーにあるのであろうか?

2.自動運転車の後席に、飲酒した人が一人で乗車していて事故が起きた場合、それは、合法なのでだろうか?それとも飲酒運転によるものなのであろうか?

アイザック アシモフは、我はロボットにおいて、ロボット三原則を提示した。自動運転車は、ロボットとみなせる。そのロボットによる事故は、一体、誰が責任を負うのであろう?

私は自動車メーカーに全責任(改造されていなければ)が生じると思っている。

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目からうろこのSRS(最近の感動的なこと)オリジナルは2005年3月12日  

Shock Response Spectrum(SRS)。

スペクトルと言えば一般にはフーリエ変換。 理系の大学生ならば、数学や物理の講義で必ず習う項目ですね。 でも、SRSを学校で習ったと言う人は少ないのではないでしょうか。 私も学生時代には習っていません。 実際、メカニカルエンジニアとして働いて18年になりますが、数年前までその存在さえ知りませんでした。 で、SRSって何かと言えば、衝撃による加速度を評価する数学的(物理的)手法です。 でも、その導出手法はフーリエ変換とは全く違います。 フーリエ変換は時系列波形を周波数軸上への変換する手法であり、逆フーリエ変換をすれば元の時系列波形に戻るわけで、フーリエ変換の前後では元波形の情報を基本的には失わいません。

で、SRSですが、知らない人に説明しにくいのですが、簡単に言えば、解析しようとする衝撃加速度をそのままの解析するのではなくて、解析しようとする衝撃加速度波形がある機械的システムに印加されたら、そのシステムの挙動はどうなるかを知ろうというものです。 よって、インプットの衝撃加速度に対しては、そのSRSは一義的に求まりますが、SRSから元の衝撃加速度波形をもとめることはできません。 これは、フーリエ変換とは根本的に違った解析手法と言うことです。

SRSの数学的定義は、解析しようとする衝撃加速度が単振動列(固有振動数が異なる単振動バネ−マス系が並んだ仮想的システム、例えば板の上に、固有振動数が10Hzから5kHzまでのバネ−マス系が並んだイメージです)に印加された場合、個々の単振動系のマスに発生する最大加速度の大きさを求めることです。 大学までの力学で考えれば、単振動系に任意の有限時間の加速度を印加し、そのときマスに発生する加速度応答を計算して、その最大値を求めるというこで、単振動系が1つなら、ラプラス変換を使えば求まる訳です。 で、その延長で考えれば、単振動列になったとして、一つ一つの系の加速度応答を求めていけば、数学的には答えは得られます。 ただし、ラプラス変換だけを数学ツールとして使用すると、計算量が膨大且つ煩雑で実用には耐えません。

そんな訳で、私もSRSの物理的に意味する所は定性的に理解できても、数学的に効率よく、つまりは、コンピューターで計算しやすくする方法が分からなくて、仕事でSRS解析をするときは、既存のプログラムをブラックボックスとして使ってました。 実際、日本語で書かれたSRSに関する本は少ないし、あっても、その定義のみの記載で、実際に計算の要領まで書いてはくれてないの実情です。 そんな訳で、私も最近まで、学校で習った数学の知識のみで考えてたわけです。

でも、仕事でSRS解析のプログラムを書く必要に迫られて、色々と勉強してみると、ちょっと数学的扱いを追加すれば、簡単に単振動列の加速度応答が求まることが分かりました。

途中の説明を大幅に省くと、単振動系のインパルス応答の解を求めて、その結果にZ変換(フーリエ変換だとか、ラプラス変換だとか似たような言葉が出てきてごめんなさい)を適用し、印加衝撃加速度をインパルス応答列として取扱うということです。

この方法は、単振動系を力学的(つまり微分方程式のままと言う意味)に取扱うのでなく、電気屋的な数学手法で取扱うことを意味します。 Z変換によるインパルス応答列の解析は、結局の所、単振動系を数学的にはデジタルフィルタとして扱うことになります。 元の衝撃波形をインプット、単振動系のマスの加速度応答をアウトプットとすると、その間にある単振動系を一種のフィルタとして見なして、インプットとアウトプット間の伝達関数=つまりフィルタ特性 を決めると言うことです。

フィルタの理論では、フィルタ特性を表現するフィルタ係数を求めれば、フィルタの伝達関数が決まって、容易にインプットの波形をアウトプットの波形に変換できます。 この方法を使えば、インプット(衝撃加速度波形)にデジタルフィルタ演算を適用するだけで、アウトプット(マスの応答加速度)が求まるので、力学的にラプラス変換で微分方程式を解く場合の逆ラプラス変換で必要な複素積分操作をする苦労が不要になって、効率の良い計算が可能になります。 さらに、単振動系を数学的にフィルタとして扱うことで、系固有のパラメータを固定したまま、任意の加速度波形に対して適用することができますので、実験で測った衝撃加速度波形を解析するのが楽チンです。  これは、普通の信号処理で、入力信号にデジタルローパスフィルタをかけて高周波ノイズを除去するの全く同じ手法です。

知ってしまえば、『あ、なるほど、それで言い訳ね』となりますが、機械屋は(私だけかもしれないけど)、電気屋さん達には常識のZ変換だとかフィルタの理論とかに疎いので、単振動系というとなじみのラプラス変換とかで微分方程式をダイレクトに解きたくなるのですね。 実際、工学部の機械工学科では機械力学(=ほとんど振動運動の力学)を習いますが、機械力学の教科書は純力学的な扱いが書かれていることがほとんどですし、講義でも単振動から減衰・強制振動、多自由度系振動、非線形振動の運動方程式を解くことが中心だから、どうしても、単振動とか言うと、微分方程式を解くと言うイメージが沸いてしまうんですね。

さて、SRSを計算するのにZ変換やフィルタ理論を使うと、2次の再帰型のフィルタ(厳密な言い方ではないけど、2次のIIRデジタルフィルタ)になって、固有振動が異なる単振動系ごとにフィルタ係数が決まっていきます。 ここまでくれば、後はコンピュータに力ずくでどうにでもなります。

私はMATLABユーザーですが、MATLABだとフィルタ係数さえ決まっていればMATLABの関数を使って、魔法のように簡単にフィルタ演算ができますから、赤子の手をひねるようなもので、あんなに、悩んでいたSRSのアルゴリズムがあっけないほど簡単に書けてしまいます。

私はこれを、アメリカのあるホームページにあった資料で知りました。 残念ながら、日本語のサイトでは、こんな解説をしているところは見つけられていません。 まー、SRSがポピュラーに使用されるのは宇宙産業や防衛産業なので、民生品産業が強い日本では利用するエンジニアが限られていると言うのが実情で、国内産業での実用性を考慮してカリキュラムを作っている大学で習わないと言うのも致し方ないのでしょうか。 でも、アメリカのエンジニアリングの基盤ってやっぱり凄いなと思ったりもします。

しかし、年齢がいくつになっても、エレガントな解説で新しい知識
を得るって言うのは感動するものですね。  仕事とは言いながら、久しぶりに感動を味わいました。

<2008/5/9追記>

SRS解析を詳しく書いてくれているURLをリンクしました。
リンク先の許可はもらってませんが。

vibraion.com

<2008/6/25追記>
この記事をお読みいただいた方へ。
もしよろしければ、コメントなど残していただけますと、今後の励みになります。どんな理由でSRSと関わっているかなども簡単に書いていただけると参考になります。 よろしくお願いします。

アクセス頻度が高いので、更新日をアップデートしました。

<2012/8/2追記>
最初の投稿から7年を経た今での、ほぼ毎日のようにアクセスのある記事なので、投稿時刻をアップデートしました。本文で、エンジニアになって18年となっていますが、その後の7年で25年となりました。リンク先のSRSの記事は今でも残っています。SRS解析を必要とする方には、とても価値のあるリンク先だろうと思います。

 

<2016/1/19 追記>

オリジナルの投稿から10年以上経ちましたが、未だアクセスが少なくないので、投稿日を設定しなおしました。記事は変更ありません。

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平成27年度センター試験 数学I 第2問(1)ア

問題文:
△ABCの辺と角の大きさを測ったところ、AB=7√3および<ACB(補足実際の記号は角度の記号)=60°であった。△ABCの外接する円Oの半径は【ア】である。

感想:
なかなか、洒落た問題だと感じました。この後に設問11カ所が続きますが、アを答えないと、次に行けません。

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バスツアー事故保険金をクイックに調べてみた。

自動車保険の対人事故保険は、普通の大人であれば、支払い額『無制限』を選択する。

しかし、搭乗者保険は、無制限はあまり選ばない。

一方、旅行する場合、海外旅行であれば、旅行保険をかける。

また、国内旅行でも旅行保険をかけることができる。

クレジットカードにより旅行代金(運賃やツアー代金)を支払えば、クレジットカード付帯の旅行保険が適用されるから、大人は、国内旅行において、わざわざ旅行保険をかけるということはあまりしない。

2016/1/15に軽井沢付近国道18号線において発生したスキーツアーバス事故の乗客は、多くが、大学生であったそうだから、支払いは、恐らく、現金であろう。

ツアー会社のツアー約款を読んでみた。事故が起きた際の特別保証の条項はあったが、所定の額となっていて、旅行保険加入を推奨している。

では、国内旅行保険は、東京海上日動火災の場合、死亡事故保証三千四百万円の場合に、保険料金は¥2,000。

AIU損害保険の場合には、死亡事故保証一千万の場合に、保険料金は¥1,280。

事故の犠牲になった若者の将来を考えれば、賠償額は、億円単位として考えたいところであるが、損害保険の現実は、そこまで高額ではない。

では、バス運行会社がどのようない保険に加入しているかであるが、東京海上日動火災保険のホームページを見ても、バスやタクシー保険の案内はない。恐らく、業界として個別の保険があるのであろう。

あとは、バスの自賠責保険であるが、死亡事故の場合では三千万円までである。ただし、これは対人事故の場合なので、バス乗客(搭乗者に相当するはず)に適用されるのは国交省の該当ホームページを見てもわからない。

まとめると、バス事故乗客の損害保険による死亡保険金は、多くて三千万円程度と見積もれる。

事故の被害に遭われた方やご家族には、お見舞いを申し上げるしかない。事故が起きたばかりの状況では、賠償などを考える気持ちの余裕もないであろうと推察するが、
気持ちも落ち着かれた頃に向き合うであろう現実は、より悲しみを深くされるのではないかと思う。

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研究発表における”Motivation”と『目的』について

大学であろうが企業であろうが、自然科学または工学や農学および医学などの応用科学であろうが、

研究という行為を、何がしかのリソース(お金、設備、人)を使って実施したのであれば、

研究成果の発表は、義務であろう。

研究の秘匿性が高い場合には組織内で留まるであろうが、公金を少しでも使ったのであれば、研究成果を公共のモノにする研究発表も義務であると思う。

そのような公の研究発表の場として一般的となるのが、各学会が主催する講演会やシンポジウムである。

企業に身を置いている(今は休職中ではあるが)立場ながら、各種講演会に参加する機会は、少なからずあった(今後は、わからない)。

日本語を使って口頭発表可能な講演会に行って、主に修士の学生の講演を聞くと、講演の前段に研究背景と『研究目的』というスライドが、ほとんど場合ある。

一方、英語での講演会に行って、主に日本人以外の講演を聞くと、Background のスライドはあるが、purpose というスライドはない。

代わりにあるのは、”Motivation”というタイトルのスライドである。

『目的』と”Motivation”は似ているようで、異なる。

その違いを説明することは難しいのだが、目的は、研究結果には、何らかの有意義な成果が無ければならないように感じる。

一方、”Motivation”からは、成果はともわれ、研究対象に対して、自信が能動的にどう考えたのか、ということを表すように感じる。よって、成果が有意義がどうかはともわれ、自身が考えて研究してみたら、こんな結果が出た!と、発表可能になる。

講演会の講演は、それぞれ最先端の内容を発表しているのであるから、実は、研究の詳細は、聴講しているの似た専門を人以外は、多くの場合、理解していない。

しかし、『研究目的』や”Motivation”というのは、専門外の人にも、朧気ながら理解可能である。

その際たるものは、岩波文庫にあるアインシュタインの相対性理論の最初の方であろうと思う。

しかし、日本での研究は、Motivationだけではなく、目的の大義名分がないと研究し難いのである。

日本においては、哲学と科学が異なる研究分野であるためではないかと思っている。

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ブルースハープ ドローベンドの力学的考察(その2)

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2016/4/27追記※ブルースハープのベンドについては,当ブログの「ブルースハープ ベンド その 『 原理 』について」をお読み頂く方がわかりやすいかと思います。

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テキストを読む時間が無い方は、このパラグラフのテキストにリンクされている動画をご覧下さい。

先日、ブルースハープ ベンドの力学的なイメージを示したが、
我ながら、幾つか不備な点があった。

最も重要な点は、ブルースハープのリードの強制振動を考えたが、そのためには、強制振動を生じさせる外力が必要であるのに、外力が何かを示さなかったことだ。

その点を考慮して、再考してみた。

まず、ハーモニカを吸ったときに、何故下側のリードだけが振動するのか?という、基本的な問題から考えてみる。模式図を図1に示す。


図1 ハーモニカを吸ったときにリードとリード周囲の圧力分布について

図1は、ハーモニカの一つの穴の模式図であり、吸った場合である。ハーモニカを吸うということは、ハーモニカの外の圧力(Po)よりも、口腔の圧力(Pmouth1)の方が小さいということである。

このとき、上側のリードは下向きにたわみ、下側のリードは上向きにたわむ。たわんだ状態のリードを赤線で示している。

リード長手方向の圧力分布ΔPがどうなるかというと、アゲミによる隙間の形状から、固定端側の圧力は低く、自由端側のは圧力が大きい(ベルヌーイの法則による)。

上側および下側のリードがたわむと、上側のリードの長手方向の圧力分布は、自由端側の圧力がより大きくなる(隙間がふえるため)。一方、下側のリード長手方向の圧力分布は、自由端側の圧力が小さくなる(隙間が小さくなるため)。

リードから離れたところの圧力Poと口腔圧力Pmouth、および空気の速度uoとumouthは定常流的とみなせるであろう。

そうなれば、穴を吸ったとき、上側のリードのたわみは圧力PoとPmouthの圧力差により決まるたわみで静止し、振動しない。

しかし、下側のリードは、たわむとリード長手方向の圧力勾配が減るため、リードのたわみは、釣り合い位置に対して振動するようになる。

これが、ハーモニカの基本的な原理となる。

吹いたときは、口腔内圧力が大きく、外側を圧力が低いので、上側のリードのみ振動する。

さて、次に、ドローベンドのとき、上側と下側のどちらのリードが鳴るのかということについてである。このことについて、簡単な実験をしてみた。

3番穴のドローベンドを起こすリードを確認するために、まず、上側のリードをセロハンテープにより固定した(図2)。加えて、下側のリードの1、2、4、および5もセロハンテープにより固定した(図3)


図2 上側リードをセロハンテープにより固定した状態。


図3 下側リードをセロハンテープにより固定した状態。

その上で、3番穴を吹くことと吸うことを行った。

実験結果は、こちら。

事前に考えていた通り、下側のリードのみで、ベンドが起きる。

三つ目に、ベンドのメカニズムについてである。

問題を簡単するために、一自由度のバネマス系を考える(図4)。


図4 バネマス系

図4において、m、kおよびFはそれぞれ、質量、バネ定数、および、外力である。

ベンドにより、普通に吸ったときよりも低い音が出るのあれば、図4の単振動系において、質量mが増えるか、バネ定数kが小さくなるか、または、外力Fの周波数によるかのいずれかである。

前回のイメージは、外力Fによると考えた。しかし、そのために、外力Fを考えなければならない。つまり、最も重要な考察が欠けていた。

質量mの増加は、リードの長さも厚さも変化しないので、起きそうもない。

では、バネ定数kの変化は、どうか?普通の片持ちハリでは、バネ定数kの変化は起きにくい。

しかし、ハリが長手方向に湾曲してしていたらどうか?実は、ハリが湾曲していると、ハリの曲げ剛性が低下するのである。

それは、図5のようなプラスチックの定規を真っ直ぐ場合と湾曲した場合に片方を揺らしてみると、湾曲した場合には容易に変形しやすいということを実感できるはずである。


図5 プラスチックの定規の例

実際に、ハープの3番下側のリードが普通のときと湾曲したときでどうなるかを確認してみた。

普通のときのリードは、図6のようにそっている。


図6 リードの普通の状態

リードを縫い針とミニドライバーにより湾曲するように塑性変形をさせてみた(図7)。なお、これをすると、ピッチを戻せなくなるので、大事な楽器は使わないように注意して下さい。私は、捨てても良いハープで試しました。


図7 曲げて塑性変形による湾曲を作ったリード

実験結果は、こちら。

実験結果は湾曲した場合のみ示しているが、普通に吸った音が、本来ならBのはずがB♭になった。そして、ベンドをさせると、F♯に安定して下がった。

この実験結果を、模式的に図にすると、図8のように考えられる。


図8 ベンドのメカニズム模式図

図8において、口腔内の圧力Pmouth2は図1の場合よりも低い。つまり、リード付け根(固定端側)はたわみ易い。

そのため、自由端側は大きく曲がり、リード長手方向に、変形しやすい形に湾曲する。

加えて、穴圧力には小さな圧力変動ΔPmouth2が重畳している。このΔPmouth2は、英語のLやRを発音するときのような舌の形にして、息を吸ったときに出るホワイトノイズ状の「シュー」とか「シー」とかの音である。

この小さな圧力変動ΔPmouth2に含まれる周波数成分とベンドによるリードの剛性低下による曲げ共振がベンドにより起きる音であると推察できる。

吹いて行うベンドは、逆に穴の圧力を?を膨らませて高くし、ブーと鳴らすように吹くと、ベンドが起きる。

しかし、ドローベンドの場合に、穴の中の圧力を低くするすることは、難しい。

そのために、さまざまななことが言われている。

例えば、平松悟氏は、DVD「ブルースハープの嗜み」において、舌の形を変えてベンドを掛けると説明されている。

一方、α-ki氏は、ホームページ「ブルースハープ講座」において、「強く吸うこと」によりベンドを掛けると記している。

どちらも、事実であり、平松氏の説明は、LやRの発音をすることに重きを置いている。一方、a-ki氏の説明は、リードを変形させることに重きを置いている。

そのどちらもできれば、ベンドは可能である。しかし、二つの異なる現象を起こそうというのであるから、そうは簡単に行かない。

では、どうするか?

まず、Rの発音の巻き舌にして、ハーモニカ無しで息を吸ってみる。すると、口の両端から、シューという音が出るはずである。Lでも同様である。このとき、お腹に力を入れる感じが必要である。

その感じで、ハーモニカを吸ってみていただきたい。

それは、即ち、舌をノズルにして空気溜まりを口腔内に圧力の低い部分を作り、加えて、リードを振動させるホワイトノイズを作り出すことにより、変形したリードの共振を生じさせる。

なお、キーがCのハープの場合、3番の1音ベンドはしやすく、2番の1音ベンドはし難いと思う。その理由についても、いずれか機会があれば記事にしたいと思う。

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