気象庁震度データベースを基に熊本地震発生状況を追っている。
2016年5月31日までの地震発生状況をデータとして示す。
・地震回数累積

・地震エネルギー累積

図2の縦軸を熊本・大分・鹿児島地震に着目して拡大してみる。

図1から地震発生回数は減少傾向にある。しかし,図3を見ると,地震エネルギー累積は決して飽和しているわけではなく,少しずつ増えている。
熊本地震は未だ終息していないように思われる。
気象庁震度データベースを基に熊本地震発生状況を追っている。
2016年5月31日までの地震発生状況をデータとして示す。
・地震回数累積
・地震エネルギー累積
図2の縦軸を熊本・大分・鹿児島地震に着目して拡大してみる。
図1から地震発生回数は減少傾向にある。しかし,図3を見ると,地震エネルギー累積は決して飽和しているわけではなく,少しずつ増えている。
熊本地震は未だ終息していないように思われる。
2016年5月22日までの,熊本地震発生状況データの更新である。データは気象庁震度データベースを基にしている。
過去記事1:熊本地震の発生状況更新(2016年5月7日まで)と終息しない要因の推定について
過去記事2:熊本地震の発生状況更新(2016年5月15日まで)
1.地震回数累積の状況
図1に地震回数累積を示す。
※2016年5月11日以降,傾きが小さくなってきている。しかし,熊本・大分において地震が頻発している傾向は変わらない。
一方,5月15日以降,黒と赤の線の傾きのズレが生じている。黒い線の傾きの方が大きくなっている(青と赤の線は平行である)。これは,熊本・大分・鹿児島以外の場所において地震が増えていることを示す。かつ,震源深さも深い地震である。5月16日に茨城県南部を震源とする地震があったがその影響であろうか?分析は行っていない。
2.地震エネルギー累積
図2に地震エネルギー累積を示す。
図3に図2の縦軸を拡大した図を示す。
3.原データ
本記事に使用したデータを右記にリンクする(エクセルデータである):地震データベース(2016年3月1日から)
以上。
2016年5月15日までの,熊本地震発生状況データの更新である。データは気象庁震度データベースを基にしている。
また,2016年5月7日まではこちら:熊本地震の発生状況更新(2016年5月7日まで)と終息しない要因の推定について
1.地震回数累積の状況
図1に地震回数累積を示す。
※2016年5月11日以降,少し,傾きが小さくなってきたように思われる。
2.地震エネルギー累積
図2に地震エネルギー累積を示す。
図3に図2の縦軸を拡大した図を示す。
3.震源北緯と深さのプロット
図4に震源北緯と深さの関係を示す。
図5に図4の縦軸を深さ−25〜0 kmとした図を示す。
4.原データ
本記事に使用したデータを右記にリンクする(エクセルデータである):地震データベース(2016年3月1日から)
以上。
※2016/5/20 図表を修正しました。
※2016/5/19 加筆しました。緯線と経線の定義を逆にしていました。図や式中の定義は変えていませんが、文章中の定義は、修正しました。ご了解下さい。
以下,メモ書きである。
気象庁の地震データベースの震源は,緯度・経度・深さとして表示される。例えば,2016年4月16日の熊本大地震は以下のように気象庁地震データベースが抽出される。
地震発生時刻 | 発生場所 | 北緯 | 東経 | 深さ | マグニチュード | 最大震度 |
2016/4/16 1:25 | 熊本県熊本地方 | 32°45.2′N | 130°45.7′E | 12km | M7.3 | 7 |
これは,座標を表すためには,正確な方法であるが,地表面に暮らす私からすれば,どうもわかりにくい。地表面に暮らしていると,長さ表示の方が理解しやすいのである。
さて,緯度・経度により表された位置を長さに変換するかということを考えたら,刺して難しい問題ではないので,メモ書きしておく。
なお,緯度・経度の説明は不要であろうと思うが,念のため,図1が必要かもしれない。図1は地球の模式図である。南北に引かれた線が経線,東西の線が経線である。
ただし,ここでは,地球は真球として扱う。地球は真球ではないので,厳密な計算ではない。つまり,地理や地図では無意味である。
長々前書きを書いても仕方ないので,本題に移る。緯線長さの求め方は以下のとおりである。図2において,下の円は北極と南極を通るようにした地球断面の模式図である。記号Rとθはそれぞれ,地球の半径と緯度を表す。πは円周率(3.14.592….)である。一方,上の円は,緯度θにおける経線の断面の模式図である(図2のpdf版:緯線長さの求め方.pdf)。
図2において赤い少し太い矢印が緯線長さを求めるために必要な半径である。
緯線の長さは,緯度によって変わる。それは,以下の式より得られる。
[緯線長さ]=2πRcosθ
ここで地球の半径Rを知らなければならない。Googleによって検索すると以下の結果が返ってくる。
よって,緯線長さを求めるための緯度θにおける半径,緯線長さ,経度1°あたりの長さは図4〜図6のようになる(図4〜図6の元データ:緯度ごとの緯線の求め方.xlsx)。
熊本地震の震源において,緯度・経度により震源をプロットすると,図7のようになる。
これを,2016年4月16日の大地震の震源を原点として長さに置き換えると図8のようになる。図8において,横軸は西から東に向かってプラス方向,縦軸は南から北に向かってプラス方向である。
本記事は,高校において習うはずの「三角関数」の簡単な利用である。この記事中の計算を行うためには,関数電卓(またはエクセルなど)が必要である。関数電卓を持っていない人は少なくないと思うが,iPhoneを持っていれば,デフォルト計算器を横にすれば,関数電卓になるので,それを利用を考えていただきたい。
気象庁地震データベースのデータを基に,「熊本地震データの更新(気象庁地震データベース2016年4月分を基に)」という記事を投稿した。
その投稿をしながら気になったことがあるので,追記として,新しい投稿を行うことにした。
気になったデータは以下の図1と図2のデータである。
図1においては4/25から,図2においては,4/26から,地震の発生回数が変化しているように思える。
なお,図1は,横軸に日付および縦軸に地震発生回数の累積数を示したものであり,図2は,横軸に日付,縦軸に1日あたりの地震発生回数を示したものである。
特に,図1において,4/25以降,一様増加の傾向を示して地震回数累積数が増えている。
これを,地震学的に考察することは,私の知識の外にある。しかし,別の観点からは,考察ができるであろう。非破壊検査的な観点(アコースティック・エミッション評価的)からである。
二つのグラフをあたらに示す。
図3は4/14−4/23と4/24−4/30の最大震度のヒストグラムであり,図4は,同様な日付の区別による地震マグニチュードのヒストグラムである。
図3および図4は,横軸はそれぞれ,最大震度とヒストグラムとし,縦軸にその発生頻度を示したものである。赤と黒の範例はそれぞれ,4/14−4/23と4/24−4/30を表す。
図3の4/14−4/23と4/24−4/30の最頻値はそれぞれ,震度3と震度1であり,図4のそれは,それぞれ,マグニチュード4とマグニチュード3である。
図3および図4の示すデータを良い方向に理解しようとすれば,熊本地震(熊本・大分地震とすべきかもしれないが)は,地震の発生が終息しつつあるように捉えることができる。
しかし,別の観点からの評価も可能であり,私は,この観点として捉えるべきであると考える。
図3と図4の4/14−4/23のヒストグラムにおいて,震度1・2やマグニチュード2が少ないのであるが,これは,当該期間中,『地震が多すぎた』ため,複数の地震を「一つの地震」となっているのではないかと考えられることである。
一方,4/24以降は,地震が散発的になり,震度1や2の地震も識別可能になった。そのため,図1の地震発生累積数が単調増加する傾向に現れている。
図1の四月下旬の地震発生回数の増加は小さな地震(マグニチュード3以下,震度1や2)が多発しているための傾向と考えることができる。しかし,このような小さな地震は,4/14−4/23の期間においては,地震計が観測する波形に,複数の地震波形が重畳してしまっていて,識別されなかったのではないかということが考えられる。
いずれにせよ,2016年4月末の状況において,熊本地震は終息している傾向は見られない。
余計な心配を煽るつもりはないが,熊本地震が終息したと考えることは,今後のデータ推移を評価し続けないと難しいように思われる。
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熊本地震のデータを気象庁地震データベースを基に作成した(実際には過去記事があるので更新である)。
データは気象庁地震データベース:URL: http://www.data.jma.go.jp/svd/eqdb/data/shindo/index.php
整理したデータはエクセルで解析を行った(リンクをクリックするとダウンロードダイアログとなる):熊本地震データ(2016年4月分)。
データを示していく。図1は地震発生回数の累積である。
図1から,地震は2016/4/30現在において,その地震発生回数はサチレーションしていないようすがわかる。
図2は地震のマグニチュード発生履歴である。
図2は横軸に時間(日時),縦軸にマグニチュードをとって,データをプロットしたものである。図2から,4/14,4/16ー4/23,そして,4/24以降と三つの別現象が起きているように思えてる。
地震の発生状況を一日あたりの地震発生回数として,発生状況を図3に示す。
図2と3から4/26から地震回数が再び増えている。
図4のマグニチュードをエネルギーに換算し,その累積した図を図3に示す。
図4からは,4/14と4/16の大地震の影響が大きいことがわかる。気象庁は4/16の地震を「本震」と言っているが,エネルギーの大きさから,そのことは,理解できる。
4/14−4/15,および,4/16以降について,図3を詳しく見てみたのが,図5と図6である。
図5から,4/14は,「スパイク状」に生じた現象であるように思われる。一方,図6からは,4/16以降,地震エネルギーが「だらだら」と増えているように見て取れる。さらに,よく見てみると,4/20以降も,地震エネルギーの累積は増え続けている。熊本地震が終息していないことを,図1と合わせて示しているように思われる。
マグニチュードのヒストグラムを図7に示す。
図7の横軸は,マグニチュード7〜8の回数を8に,6〜7の回数を7に示している(1〜6も同様)。マグニチュード4〜6だけでも60回以上起きている。ただならくことであろうと思う。
震源について見ていこう。すべてのデータの震源を図8〜図10に示す。3次元グラフで示せれば,一つのグラフで済んだのであるが......
4/14−4/15,4/16−4/18,4/19−4/26,および,4/27−4/30をそれぞれ,赤,青,緑,黄色の点により示している。一方,4・1−4・13に起きた地震2回を△により示している。赤と青の×はそれぞれ,4/14と4/16の大地震の震源である。
一般に,震源として示されるのは,図8である。また,新聞やテレビにおいて,地震が断層に沿って起きているということを読み聞きする。しかし,図9と図10を合わせて考えると,地震は,立体的に分布して発生しているように思える。
また,図8と図10が顕著であるが,地震は,三つの場所に分散して起きているように思われる。熊本地方,阿蘇地方,および,大分地方である。これは,報道と合致しているが,それぞれの地域の間に震源が分布していないということは,とても興味深い。震源が連続線になっていない。
震源の東経-北緯について,もう少し詳しく見てみる。
図11,図12,および,図13に,それぞれ,4/14−4/15,4/14−4/18,および,4/19−4/30の震源(東経ー北緯プロット)をそれぞれ示す。
図11〜13を見て一目でわかることは,日が進むにつれて,明らかに,震源広がっている。
図14に震源深さのヒストグラムを示す。理由を知る由もないが,とても興味深いことに,正規分布状に震源深さが分布している。
関東に住み続けている私は「地震慣れ」している。震度3くらいの地震では,「はっ」とはするが,驚きはしない。しかし,震度4ではかなり驚く。
震源深さ10 kmと聞くと,「かなり近い!」と感じる。
2016年4月14日以降,その「はっ!」とする瞬間が,ずうと,熊本・大分において継続している。
経験したことがない状況と気象庁が自らいっているようであある。本当に,経験したことがないような地殻変動が,熊本・大分において起きているのではないであろう?
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