気象庁震度データーベースを基に熊本地震状況を見ている。
2016年6月7日までの地震発生状況のデータを更新する。

※残念なことではあるが,2016年6月1日〜7日にかけて熊本・大分・鹿児島における地震回数累積(震度1以上)は日に対して少し傾きが大きくなった(つまり地震が多くなった)。
未だに熊本地震は終息してはいないようである。


オリジナルエクセルデータ:地震データベース(2016年3月1日から)
気象庁震度データーベースを基に熊本地震状況を見ている。
2016年6月7日までの地震発生状況のデータを更新する。
※残念なことではあるが,2016年6月1日〜7日にかけて熊本・大分・鹿児島における地震回数累積(震度1以上)は日に対して少し傾きが大きくなった(つまり地震が多くなった)。
未だに熊本地震は終息してはいないようである。
オリジナルエクセルデータ:地震データベース(2016年3月1日から)
気象庁震度データベースを基に熊本地震発生状況を追っている。
2016年5月31日までの地震発生状況をデータとして示す。
・地震回数累積
・地震エネルギー累積
図2の縦軸を熊本・大分・鹿児島地震に着目して拡大してみる。
図1から地震発生回数は減少傾向にある。しかし,図3を見ると,地震エネルギー累積は決して飽和しているわけではなく,少しずつ増えている。
熊本地震は未だ終息していないように思われる。
2016年5月22日までの,熊本地震発生状況データの更新である。データは気象庁震度データベースを基にしている。
過去記事1:熊本地震の発生状況更新(2016年5月7日まで)と終息しない要因の推定について
過去記事2:熊本地震の発生状況更新(2016年5月15日まで)
1.地震回数累積の状況
図1に地震回数累積を示す。
※2016年5月11日以降,傾きが小さくなってきている。しかし,熊本・大分において地震が頻発している傾向は変わらない。
一方,5月15日以降,黒と赤の線の傾きのズレが生じている。黒い線の傾きの方が大きくなっている(青と赤の線は平行である)。これは,熊本・大分・鹿児島以外の場所において地震が増えていることを示す。かつ,震源深さも深い地震である。5月16日に茨城県南部を震源とする地震があったがその影響であろうか?分析は行っていない。
2.地震エネルギー累積
図2に地震エネルギー累積を示す。
図3に図2の縦軸を拡大した図を示す。
3.原データ
本記事に使用したデータを右記にリンクする(エクセルデータである):地震データベース(2016年3月1日から)
以上。
2016年5月15日までの,熊本地震発生状況データの更新である。データは気象庁震度データベースを基にしている。
また,2016年5月7日まではこちら:熊本地震の発生状況更新(2016年5月7日まで)と終息しない要因の推定について
1.地震回数累積の状況
図1に地震回数累積を示す。
※2016年5月11日以降,少し,傾きが小さくなってきたように思われる。
2.地震エネルギー累積
図2に地震エネルギー累積を示す。
図3に図2の縦軸を拡大した図を示す。
3.震源北緯と深さのプロット
図4に震源北緯と深さの関係を示す。
図5に図4の縦軸を深さ−25〜0 kmとした図を示す。
4.原データ
本記事に使用したデータを右記にリンクする(エクセルデータである):地震データベース(2016年3月1日から)
以上。
1.はじめに
熊本地震(私は,熊本・大分・鹿児島地震とすべきと思うが)の2016年5月7日までの地震発生回数累積と地震エネルギー累積を改めて示す。震源の変化も示したいところであるが,データ整理が追いつかないし,それは,気象庁にある。
2.地震発生回数累積の傾向
図1に2016年3月1日〜2016年5月7日までの気象庁地震データベースから震度1以上の地震と抽出したすべての地震,そこから,震源深さ20 kmまでの地震を抽出したもの(理由は当ブログ過去記事:熊本地震データの更新(気象庁地震データベース2016年4月分を基に)を参照願いたい),そして,熊本・大分・鹿児島で発生した地震(震源深さ20 kmまで)のそれぞれの地震回数累積数のグラフを示す。
図2には2016年4月14日熊本大地震を起点とした,同様の地震回数累積を示す。
図1および図2において,黒線,青線,および,赤線は,それぞれ,地震データベースすべて(全国),深さ20 kmまでの地震,および,熊本・大分・鹿児島(トカラ列島と薩摩半島西方沖)の地震発生回数累積である。
図1および図2において,2016年5月7日現在において,熊本・大分・鹿児島における地震の発生回数累積の飽和傾向(サチュレーション)は見られない。
3.地震エネルギー累積について
気象庁地震データベースのマグニチュードをエネルギーに換算して,その累積を図3と図4に示す。図3は2016年3月1日から,図4は,2016年4月14日熊本大地震以降である。線の色分けは,図1および図2と同様である。
4.熊本・大分・鹿児島地震震源の特徴について
図5に気象庁地震データベースから抽出したデータから,北緯と震源深さの関係を示す。
図5には日本全国において発生した地震を示しているため,横軸に北緯をとった。熊本・大分・鹿児島地震は,北緯29°〜33.5°に分布するの赤い点である。
北緯38〜39°,深さ50 km付近に地震の密集が見られるが,これは,福島〜宮城沖の地震である。
図5より,熊本・大分・鹿児島地震は深さ20 km未満の浅い震源のみに分布している。これが,今回の地震の特徴であろう。
また,図5から北緯33.5〜37°にかけて,震源深さ20kmまでに線状の地震発生分布が,熊本・大分地震に連なっているようにも見える(青い点)。
5.群発地震が終息しない要因の推定
図5を見ながら感じるのは,熊本・大分・鹿児島群発地震は,なぜ,震源が20 kmまでに集中しているのかという疑問である。
それぞれの地震波は,おそらく球面波として伝播するはずであるから,地中20 kmよりも深いところにおいても地震が発生しても不思議はない。しかし,実際には起きていない。考えられることは,熊本・大分・鹿児島において群発地震が発生してる地域の地殻は,深さ20 kmを境界にして地震波の伝播の不連続層(弾性波伝播を考えれば液相か気相の存在)があると考えられることである。
もし,不連続層があり,それが,音響インピーダンス的に不連続であれば,地震波は,深さ20 kmまでから地表に向かって反射していることになる。地震波は,地表面(これは,明らかに音響インピーダンス不連続面である)と深さ20 kmの不連続層の間において反射を繰り返す。これは,地震波が,20 kmの厚さにおいて表面波として伝播していることも考えられることになる。
地震P波の速度と代表周波数はそれぞれ,5000 m/sと1 Hz程度であろう。すると,その波長は,以下のように見積もることができる。c,f,および,λはそれぞれ,地震波の位相速度,周波数,および,波長である。
c = fλ
5000 (m/s) = 1(Hz) λ
λ =5000 (m/s)/1 (Hz) = 5000 m = 5 km
すなわち,熊本・大分・鹿児島地震の震源深さの最頻値は10 km程度である。よって,地表面まで2波長程度しかない。20 kmまでの深さを考えても4波長分である。
鋼の超音波探傷にしばしば使用される5 MHzの場合に置き換えてみると,1波長の長さ,以下のようになる。
λ =5600 (m/s)/5 (MHz) = 1.12×10-3 (m) = 1.12 mm
すると,4波長分の鋼の板厚は4.48mm程度である。このような場合,弾性波は板波(ラム波)として伝播する。
板波や表面波は,遠方まで伝播することは,超音波の扱いではよく知られていることである。こう考えれば,熊本益城町付近において発生した大地震が,大分や鹿児島に伝播して新たな地震を発生させる要因となることは考えられる。
熊本・大分・鹿児島における群発地震が終息しないことについて,地殻を伝播する表面波(=レイリー波,ラム波といいたところであるが,深さ20 km付近の境界条件が不明だ)として伝播していることによって,それぞれの地震は,互いに連動しあっていることが考えられる。